RADIO SHOW DISCS
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◆ ラジオショウレコード 

こちらでご紹介するのは「ラジオショウレコード」です。
海外でもそのまま「Radio Show Disc」と呼ばれており、時には「Transcription Disc」などと言われていることもあるようです。


「ラジオショウレコード」は読んで字のごとくラジオの放送局向けに製作されたレコードのことで、実際の用途としては本放送の終了後、海外を含むローカル放送局でもオンエアできるようにレコードとして配布される、一種の放送用原盤です。
”使い回し”といえば聞こえが悪いかもしれませんが、簡単にいえばそういうことです(笑)。

”ラジオショウ”ですから、収録されている音源は既出のスタジオ録音版ではなくライブ音源であることが一般的です。
また、後日に使用する放送局がそのまま使用できるようにDJのアナウンスやCMも挿入されています。
これらCM等の挿入が良いか悪いかはコレクターの評価が分かれるところで、純粋に曲を楽しみたい人にとってはたびたびのCMなどは邪魔になりますし、逆にラジオを聴いているようなライブ感覚が魅力であるともいえます。
私個人的にはDJアナウンスやCMがあるほうが臨場感があって良いかな…と思っていますが、コレクター間では敬遠される傾向があるようです。

ほとんどのレコードは何も描かれていないプレーンジャケットに収められており、曲目やそれぞれの録音時間、そしてCMの挿入位置等が詳しく記されたキューシート(cue sheet)が付属しています。


しかし、今でこそネットの普及によってミュージシャンのライブ映像や未発表曲などはYOU TUBE等で気軽に楽しむことができますが、昔はアルバム未収録音源というのは本当に貴重なもので、大げさかもしれませんが1曲1曲がキラキラと輝く宝石のような存在だったような気がします。
これをご覧いただいている方の中にもラジオをエアチェック(もう死語ですね)して、テープに録りためたりして楽しんだ方もいるのではないでしょうか?

どちらが良い悪いということではありませんが、下手に映像をみてしまうよりも音だけを聴くほうが、逆にイマジネーションをかき立てられて自分だけのSQUEEZEのショウが心の中に映し出されるような気がしてうれしくなってしまいます。
その昔、繰り返し聴き込んで音質の悪くなったライブテープ(または海賊版ビデオ?)を聴きながら、未だ実現せぬSQUEEZEの来日を想像なんかしたりしたファンも多いのではないでしょうか?(私はしましたよ〜)

ここでは、そんなちょっと懐かしい時代を放送局用のレコードというモノで振り返ってみたいと思います。
 



BBC TRANSCRIPTION SERVICES IN CONCERT-255 1981 149193-S


この通称「BBC Transcription Disc(トランスクリプションディスク)」(以下、BBC-TD)は、1930年代から90年代の前半にかけてイギリス国内で放送された番組の内容をディスク化して海外のラジオ放送局用に作成、配布されたもので、一般への販売や配布はされませんでした。しかし、90年代前半にストックが一斉に売りに出されたことで日の目を見ることとなりました。その経緯は流出ではなく、BBCが自ら販売したものと思われます。

数あるラジオショウレコードの中でもBBC-TDはもともとのプレス数が少なく(100枚程度)、コレクター垂涎のアイテムとなっており、最も高価で取引されているものです。
このBBC-TDの人気の秘密としては、冒頭にわずかなDJアナウンスが入る以外は余計なCM等が挿入されておらず、また音質もいいので聴きやすいといったことがあります。

そのため、このBBC-TDは他の大物ミュージシャンにおいては、BBC-TDのコピーもの(音源のみならずジャケットや中身さえも丸々コピーしたもの)が海賊盤として販売されたりもしています。
しかし、やはりオリジナルのBBC-TDにはジャケットも「BBC放送局の原盤」といった風格があり、所詮はコピーであることから音質においてもかなわないようです。


写真のBBC-TDは1981年オックスフォードポリテクニックでのライブを収録したものです。
収録曲はキューシートの拡大写真(B面はコチラ)で見ていただくとして、いくつか解説したいと思います。

まず、A面2曲目の「TOO MANY TEARDROPS」はニック・ロウのナンバーですが、この時期のライブの定番曲でもありました。
また、同じくA面6曲目の「OUT OF TOUCH」はアルバムバージョンと違い、ポール・キャラックがボーカルをとっています。アレンジもアルバムとは全く違ってノリがよく、こちらのバージョンを好きなファンも多いようです。
なお、この同曲はポール・キャラックもソロアルバム「SUBURBAN VOODOO」の中でカバー(?)しており、やはりSQUEEZEのアルバムバージョンとは違ったアレンジになっています。


この他にSQUEEZE関係のBBC-TDは「Difford & Tilbrook」名義も含めて3枚が製作されています。Difford & Tilbrookのものはこの後にご紹介しますので、それ以外の2枚の製作年と収録曲をご紹介しておきます。
ちなみに「IN CONCERT」というのはBBCの提供している番組の名前です。



IN CONCERT-373 1986年
ハマースミスオデオン

SideA
Is That Love
Hits of the Year
Last Time Forever
By Your Side
King George Street
Up the Junction
No Place Like Home

SideB
Annie Get Your Gun
Take Me, I'm Yours
Pulling Mussels (From the Shell)_
Labelled With Love
Black Coffee in Bed
Jools' Bumble Boogie
Messed Around
Goodbye Girl
IN CONCERT-426 1988年
マンチェスター・アポロシアター

SideA
Pulling Mussels (From the Shell)
The Prisoner
Hourglass
853 5937
Last Time Forever
Striking Matches
Take Me, I'm Yours

SideB
Up the Junction
Footprints
Such A Night
Trust Me To Open My Mouth
Cool For Cats
Black Coffee In Bed
Another Nail In My Heart
Labelled With Love


・IN CONCERT-373のB面「Jools' Bumble Boogie」はジュールス・ホランドのピアノソロ
・IN CONCERT-426のB面「Such A Night」はニューオーリンズのミュージシャンDr.ジョンの曲でジュールス・ホランドがボーカル




TOP OF THE POPS - 798 1980 146165-S


イギリスの「TOP OF THE POPS」という番組のラジオショウレコード。放送は1980年2月20日の週とクレジットされています。
収録アーティストと曲目は以下の通り。

The Tigers - Kidding Stops
Nazareth - Fast Cars
The Beat - Hands Off.. She's Mine
Nazareth - Holiday
Squeeze - Another Nail In My Heart
The Boomtown Rats - Someone's Looking At You
The Tourists - So Good To Be Back Home Again

スクイーズのAnother Nail〜は、グレンのボーカル、ギター、クリスのコーラス以外は打ち込みによる演奏だと思われます。そのため、グルーブ感のない淡々とした録音となっていますがですが、逆に極めて珍しいバージョンとも言えそうです。
なお、A面B面ともに同じ収録曲ですが、A面は「A Presented Show」、B面は「Banded Items」となっており、A面には曲間に番組のトークが入っています。

このレコード盤はかなり薄くペラペラ感があるのですが、音質が極めて良いのが特徴です。

キューシートの拡大写真(B面はコチラ





BBC ROCK HOUR 1981 #239


こちらはアメリカの「BBC ROCK HOUR」という番組のラジオショウレコード。
放送は1981年9月27日の週とクレジットされています。

名前からも分かるようにこれはイギリスBBCの音源をもとにした番組であり、このレコードも上記BBC-TDのIN CONCERT-255の音源をもとに製作されています。
ただ、オリジナルのIN CONCERT-255からは2曲がカットされており(Too Many TeardropsとI've Returned)、CMも所々に挿入されています。
キューシートもBBC TRANSCRIPTION SERVICESのものを修正して使用しています。

このようなことからもオリジナルのBBC-TDは重宝され、流通量も価格も違ってくることになります。

キューシートの拡大写真(B面はコチラ





KING BISCUIT FLOWER HOUR 1981 KB377


アメリカのラジオ番組「KING BISCUIT FLOWER HOUR」で1981/7/26に放送された音源。NYのリッツシアターでのライブ(1981/6/29)を収録。
ライブのMCでグレンが「KING BISCUIT FLOWER HOUR」の名前を口にしていることから、この番組用に録音されたライブであることが分かります。

キューシートの拡大写真


「KING BISCUIT FLOWER HOUR」のラジオショウレコードのほとんどは2枚組となっており、A面、B面、C面のみに音が収録されています。

普通、2枚組のレコードは1枚目がA面B面、2枚目がC面D面となっているのですが、このレコードはラジオショウレコードとしての工夫がされていることが特徴で、1枚目のレコードは「A面とC面」、2枚目のレコードが「B面と何も曲が入っていない面」のように作られています。
これはどういうことかというと、ラジオ放送の際にレコード盤をわざわざひっくり返す時間を取らなくてもいいようにしてあるのです。

文面ではなかなか伝わりにくいかもしれませんが、例えばA面が終わると、本来であればそのレコードをひっくり返して裏のB面を再生しなければなりませんが、ラジオ番組においてはそんな時間さえも惜しいし、何よりも変な間ができてしまいます。

そこで、2台のレコードプレーヤーを用意しておき、1枚目のA面が終わると同時にもう一台のプレーヤーにあらかじめ用意してあった2枚目のB面を間髪入れずに再生します。そうすることで番組をスムースに放送することができるのです。

レコード盤(LP)の片面は最高で20分ちょっとしか連続再生ができないので、このような工夫も必要でした。
(蛇足ですが、昔あった生カセットテープに「46分」という時間のものがあったのですが、あれはこのLPの収録時間、つまり片面23分はLPの再生時間と同じということを考えて作られていたものです。ご存じない方にご参考までに)

もっとも、時代がCD主流になってからはそのような工夫をする必要もなくなりました。


なお、「KING BISCUIT FLOWER HOUR」はすでにラジオでは放送されていませんが、そのサイトで過去の放送音源のいくつかを無料で聴くことができます(メールアドレスの登録は必要ですが無料)。これはSQUEEZEだけでなく、他のアーティストの音源も聴くことができます。

そして、何とこのNYリッツシアターのライブ音源もストリーミングして聴くことができます(本レコード収録は13曲ですが、無料ストリーミングでは24曲聴けます!)。
素晴らしい演奏が高音質で聴けます。オススメです。ぜひアクセスして聴いてみてください。

耳ではライブ演奏を聴きながら、目ではこのサイトでSQUEEZEをヴィジュアルで楽しむという方法をご提案します(笑…でも、結構オツですよ)

⇒ KING BISCUIT RECORDS
*トップページ左下の「CONCERT VAULT」から進んで、リンク先でアーティスト名等で検索すれば簡単に見つかります。

あと、このラジオショウ音源をコピーした「ANATOMY OF A BURGER」というブートLPが存在します(ディスコグラフィーの「ブートレグ」を参照)



*追記:当サイトをご覧いただいた方から「”KING BISCUIT FLOWER HOUR”のラジオショウには他にもCDで存在する」との情報をいただきましたので収録曲とともにご紹介いたします。
こちらはポール・キャラックとのカップリングで、1989/12/18に放送されたものとのことです。(情報提供Sさん)



KING BISCUIT FLOWER HOUR 1989/12/18_

SQUEEZE
If I Didn't Love You
Another Nail In My Heart
Take Me, I'm Yours
Tempted
Cool For Cats
Pulling Mussels (From the Shell)
Up the Junction
Is That Love
Goodbye Girl

PAUL CARRACK
Don't Shed A Tear
I Need you
I Knew The Bride (with Nick Lowe)





RETRO ROCK 1982 RR 82-43


RETRO ROCKというアメリカのラジオ番組のショウレコード。放送は1982年10月18日の週とクレジットされています。
このラジオショウレコードはCMと併せてメンバーのインタビューも挿入されていることが特徴です。これらの有無はコレクターの間でも好き嫌いが分かれるのではないでしょうか?
他のラジオショウレコードと同じように通常はキューシートが付属していたと思われますが、私が入手したものには残念ながら付いていませんでした。
セットリストは以下の通りです。録音日時の詳細は分かりませんが、過去のセットリストから推測すると1980年頃のライブ録音だと思われます。

Another Nail In My Heart
Cool For Cats
Mess Around (Jool's song)
Take Me, I'm Yours
If I Didn't Love You
Farfisa Beat
Goodbye Girl
Up the Junction
Misadventure
There At The Top
Separate Beds
Going Crazy

*このラジオショウレコードについても上記KING BISCUIT FLOWER HOURのCDと同じく、Sさんに情報提供をしていただきました。ありがとうございました。




THE PENTHOUSE MAGAZINE COLLEGE ROCK CONCERT PROGRAM 1983 #1014


アメリカの有名な男性向け雑誌「PENTHOUSE」が提供したと思われるラジオ番組のショウレコード。
放送は1983年12月18日の週とクレジットされており、音源は上記BBC-TDのIN CONCERT-255の音源をもとに製作されています。

ただし、オリジナルのIN CONCERT-255からは2曲がカットされています(Too Many TeardropsとI've Returned)
このようなことからもオリジナルのBBC-TDは重宝され、流通量も価格も違ってくることになります。

キューシートの拡大写真(B面はコチラ
*キューシートB面のCool For Catsの後にUp The Junctionが抜けています





BBC TRANSCRIPTION SERVICES IN CONCERT-341 1984 154430-S


冒頭でご紹介したものと同じくIN CONCERTのBBC-TD。Difford & Tilbrook名義で、1984年フライアーズ・アリスバーリーでのライブを収録したものです。
収録曲はキューシートの拡大写真(B面はコチラ)をご覧ください。
A面「Band Of Gold」はジャズ畑出身でモータウン歌手フレダ・ペインのヒット曲のカバーです。

ライブは演奏曲の半分がスクイーズ時代の楽曲でありながらも比較的シンセを多用した布陣で演奏されており、スクイーズ時代とは一味違ったサウンドとなっています。また、サポートメンバーのコーラスワークが素晴らしいです。グレン、クリスともにのびのびとリラックスした印象があり、安心して聴くことができます。

このBBC-TDには写真入りの解説シートに加え(裏面)、英国BBC Transcription Serviceから米国London Wavelength社(NY)にディスクが発送された際の明細票が付属していました。これは非常に貴重な資料です。
この明細票によると当BBC-TDは25ドルで譲渡されたことになります。もっともこれはあくまでディスク自体の価格であり、放送権利はまた別の話だとは思いますが…。





BBC ROCK HOUR 1984 BC545


先のBBC ROCK HOURディスクと同じくアメリカ「BBC ROCK HOUR」のDifford & Tilbrookラジオショウレコード。
同じくイギリスBBCの音源をもとにした番組であり、このレコードも上記BBC-TDのIN CONCERT-341の音源をもとに製作されています。
放送は1984年11月4日の週とクレジットされています。

オリジナルのIN CONCERT-341からは2曲がカットされており(TemptedとIs That Love)、CMも所々に挿入されています。
キューシートもBBC TRANSCRIPTION SERVICESのものを修正して使用しています。

このようなことからもオリジナルのBBC-TDは重宝され、流通量も価格も違ってくることになります。

キューシートの拡大写真(B面はコチラ





WESTWOOD ONE RADIO NETWORKS IN CONCERT 1988 1 88-04


こちらもアメリカの「WESTWOOD ONE」というラジオ局の「IN CONCERT」という番組のラジオショウレコードで、RICHARD MARXとのカップリングになっています。

「IN CONCERT」という番組はBBCのもので、この「WESTWOOD ONE」のものもBBCから音源を借り受けていたようです。
「KING BISCUIT FLOWER HOUR」と同じく2枚組LPで、1枚目のレコードが「SideOne、SideThree」、2枚目のレコードが「SideTwo、SideFour」となっています。SQUEEZEがSideThree、SideFourでRICHARD MARXがSideOne、SideTwoです。

このレコードは前述のBBC-TDのIN CONCERT-426の音源を元に製作されていますが、例によってオリジナルBBC-TDからは6曲がオミットされており、CMも挿入されています(ただ、なぜかBBC-TDにはない「Is That Love」が追加収録されてもいます)。

キューシートの拡大写真





WESTWOOD ONE RADIO NETWORKS IN CONCERT 1994 SHOW #94-18


上記のアナログ盤と同じ局のラジオショウディスク。時代が変わり、CDでの製作となりました。アナログ盤の使用当時と比較すると、扱いが相当楽になったものと推測されます。
放送は1994年4月25日の週とクレジットされています。

2枚組でCOUNTING CROWSとのカップリングとなっています。ただし、収録曲数はCOUNTING CROWSの5曲に対し、SQUEEZEは12曲と倍以上になっています。

ショウの内容は1993年にカリフォルニア大学のプライスセンターで行われたライブとなっています。
1994年2月の初来日公演時のメンバーと演奏に近く、当時の雰囲気が味わえます。ただし、来日時のキーボードはアンディ・メトカルフェでしたが、当時のオリジナルメンバーはポール・キャラックとなっており、日本以外のツアーはポールが担当していました。

SQUEEZEのオリジナル曲以外に、ポールのソロ曲「HOW LONG」やビートルズの「CAN'T BUY ME LOVE」を演奏しています。

キューシートは合計4枚(6面)付属していました。
キューシート@ キューシートA キューシートB キューシートC キューシートD キューシートE


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