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サウジアラビア製アルバムカセット





SQUEEZEのアルバムはカセットテープでも多くリリースされています。こちらでご紹介するのはサウジアラビア製カセットテープです。
しかし、これらはA&Mレコードに許諾を得たライセンス品ではありません。
いわゆるパイレート盤（*）となります。

*パイレート盤…正規に発表されたアルバムの内容をそのまま、あるいは主に曲単位で独自に編集するなどの形で、コピー（製作）した物（ウィキペディアより抜粋）


「THOMSUN ORIGINAL」をはじめとして「HERO」「IMD」「AS」「747」といったレーベルのカセットテープは80年代にサウジアラビアで作られ、アジア諸国に多く輸出されたようです。
中でもSQUEEZEなど80年代のミュージシャン物が圧倒的に多く製作されています。

「THOMSUN ORIGINAL」をネットで検索すると、「Saudi Arabia」のほかに「Middle East」「Indonesia」といった国や地域がヒットします。

このカセットはインドネシアでよく見かけるためかネットで「MADE IN INDONESIA」と書かれていることもよくありますが、カセットの入手元であるインドネシア人コレクターによるとサウジアラビア製で間違いないとのことです。


80年代のアジア音楽マーケットでは奇妙なパッケージをまとった怪しげな香りのする海賊版のレコード・テープが大量に流通していましたが、これらのカセットもそういったもののひとつではないでしょうか。

ご存知の通り、サウジアラビアは厳格なイスラム教社会であり、公共の場所での音楽の演奏や踊りといった行為は違法になります（個人で楽しむのはＯＫ）。
そのため、欧米のロック・ポップ音楽がサウジ国内の企業を通じてライセンス販売されることはありませんでした。
しかし、この国でも抑圧された国家のご多分に漏れず、欧米の大衆音楽に対する憧れは強く、多くのコピー品が出回っていたようです。


サウジアラビアは第二次大戦以降、アメリカとの経済的な結びつきを強めました。
そして、奨学金制度の充実もあって多くの学生がアメリカに留学しました。

そうやってアメリカ大衆文化に影響、刺激を受けたサウジアラビアの”インテリ層”たちが「TAKE ME I'M YOURS」のリズムに身を任せ、「TEMPTED」のソウルフルな調べに魂をふるわせ、そして英語の歌詞カードを片手に「HOURGLASS」のサビを口ずさむ…といった光景は、当時、少数派とはいえそれほど珍しくなかったのかもしれません。