布袋寅泰のミュージックスクエア - スクイーズ特集
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布袋寅泰のミュージックスクエア - スクイーズ特集


かつて、NHK-FMでオンエアされていた「ミュージック・スクエア」という音楽ラジオ番組がありました。
1990年4月〜2009年3月までオンエアされていたようですが、この開始当初から1993年3月まで布袋寅泰がパーソナリティを務めていたことがあります。

実は私がSQUEEZEを知るきっかけとなったのは、何を隠そうこのミュージック・スクエアで布袋さんがかけたSQUEEZEの曲を聴いたことだったのです。

私がレコードコレクターズの「レコードコレクター紳士録」で、SQUEEZEとの出会いは布袋さんのラジオだということを紹介させていただいたことに、とても多くの方から反応をいただきました。


「私もミュージックスクエアでスクイーズを聴いてハマりました!」

「布袋寅泰のRadio Pleasure Boxは、ボクの洋楽のバイブルでした」

「あなたがCOMPLEXのTシャツを着て紳士録に出ていたことがうれしかったです!」


そうか〜、同じ思いを持った方がたくさんいたんだな〜と。
すごく嬉しかったです。

そんなかつて同じ楽しみを体験していた方とやり取りさせていただいていると、お会いしたことはなくても、まるで同窓会で旧友と久しぶりに再会したような感覚になりました。

実は私、昔は「布袋寅泰のラジオでスクイーズを好きになった」と公言することに、少々ためらいがあったんですね。なんか、テレがあるというか…。

当時、日本のSQUEEZEファンクラブに入っていたのですが、その時の会員さんは、ほとんどが私より年上の方で(私は1974年生まれです)、私の知る限りでは布袋さん経由でSQUEEZEを聴き始めた方はいませんでした。

私より年上の方であれば、SQUEEZEはデビュー当初からご存知であったり、またエルビス・コステロやニック・ロウといったパブロック人脈から知った方が多く、「布袋さんがきっかけでスクイーズを知った」という方は、あまりおられないのではないでしょうか?
だから、そんな自分の立場にちょっと引け目を感じていたのです。単なる私の思い込みかもしれませんが…。

もちろん、今ではそんなことは思いません。
同じようなきっかけでSQUEEZEを聴き始めた方がたくさんおられることを嬉しく思うと同時に、こんな素晴らしいポップバンドを紹介してくれた布袋さんには、本当に感謝しています。


あと、もうひとつ嬉しかったことがあって、以前に私がレココレ誌の取材を受ける旨を布袋さんにツイートでお知らせしたら、「おめでとう!」とお返事をいただいたことです。
そもそもSQUEEZEに出会ったのは布袋さんのおかげなので、そのことをお伝えしたんですね。
それに対してのお返事だったので、それはもう嬉しかったです。
紳士録への掲載とともに、忘れられない思い出のひとつとなりました。


そんな私の思い出である、布袋寅泰のミュージックスクエア。
思い出と同時に、私のレコードコレクターとしてのルーツかもしれません。
SQUEEZEのレコードに興味をもってから、本格的なレコード蒐集が始まったわけですから…。

番組では「スクイーズ特集」も組まれたことがあり、幸い私はそのテープを持っています。
昔、SQUEEZEファンクラブの方にダビングしていただいたものです。

そのテープを久しぶりに聴いてみました。
当時のいろんな感情がよみがえってきました。

SQUEEZEというバンドを知った時のドキドキ感、Another nail in my heartを聴いて「なんてカッコイイ曲なんだ…」と、文字通り心を射抜かれたような気持ちになったこと、レコード屋で色とりどりのカラーレコードを手にしたときのワクワク感etc…とにかく、いろんな思いが駆け巡りました。

それと同時に、この気持ちを”ミュージックスクエア同級生”のみなさんとシェアしたいとも思いました。

初めは内容を要約してご紹介しようと思ったのですが、下手な要約では私のバイアスがかかってしまうかもしれません。それは本意ではありません。
だったら、思い切って全部書き出してしまえ!と。
そのようなわけで、オンエアされた布袋さんのトーク部分と曲目をテープから文字起こししてみました。

SQUEEZEというグループがプロミュージシャンの視点からどのようにみられていたか、とても興味深い内容です。
また、布袋寅泰というひとりのギタリスト、ひいてはBOOWYというバンドのルーツを探るための貴重な資料にもなり得ると思っています。
ぜひ、ご堪能ください。

ラジオでのトークを忠実に再現してあるため、読むには若干不自然な箇所もありますが、その性質上ご理解いただければ幸いです。
布袋さんが「あの声」でトークしていると想像しながらお読みいただければ、リアルに楽しんでいただけるかもしれません。


 RADIO! RADIO! RADIO!

 忘れられないナンバー
 かけてよDJ

 お気に入りのナンバー
 それだけでOK!



 from ”RADIO! RADIO! RADIO! ” by Tomoyasu Hotei
布袋寅泰のRadio Pleasure Box
布袋がテーマごとにチョイスしたアルバムの他、巻末にはミュージック・スクエアのオンエアリストも掲載されている。ここから多くの洋楽ファンが生まれた




当初、オンエアの日にちと、一部録音テープの都合上トーク部分が分からなかった箇所があったのですが、”ミュージックスクエア同級生”であるogasakuさんのご協力で補完することができました。ご協力に感謝いたします。



ミュージック・スクエア 1993年1月21日(木曜日) PM 9:00〜10:45 


こんばんは、布袋寅泰です。元気ですか?
なんとなく年が変わるとですね、なんだか季節まで変わっちゃったような錯覚に陥りがちですけれども、冬というのは1月、2月、これからが本番だったりしますし、これから寒くなっていくんで風邪など引かないように気をつけてもらいたいなと思うんですけども。

今夜はですね、前々からやるやるといっていたスクイーズ特集をしたいなと思うんですけども、メロディ、ドライブ感、音の成り立ち方ひとつとってもですね、完璧なポップセンスで貫かれている彼らの音楽なんですけども、この番組でも何度となくかけてきていますし、特にビートルズファンだったり、特にポール・マッカートニーのコード感とかメロディが好きな人、それとか、エルビス・コステロのあの感じとかいいよな〜という、とにかくポール・マッカートニーとかエルビス・コステロにも通じる、黄金の何かポップワールド、初めから最後までおかけしたいなと思います。

今夜を境にですね、全国にスクイーズファンというのがどっと増えるかもしれないですね。選曲のほうもベストオブベストという感じでやりたいし、聴き終えた後、スクイーズっていいな〜と言ってもらえるのを期待しつつ、今夜の一曲目にいってみたいと思います。
スクイーズでTAKE ME I'M YOURS。


♪ TAKE ME I'M YOURS ♪


まずは、TAKE ME I'M YOURSを聴いてもらいました。
これは彼らのデビューアルバム「SQUEEZE」からの曲でして、ジャケットがですね、筋肉モリモリのボディービルダーみたいな男の人がですね、なんか振り絞っているっていう。
スクイーズっていうのはもともと何か振り絞るってみたいな意味がありますから、そんなところからきたジャケットなのかな〜と思いますけども。
彼らが出てきたっていうのは、パンクとかが出てきて、パンク・ニューウェーブの時代、多くのバンドが暴力的なビートで、何か痛烈なメッセージをその強力なビートに乗せて歌ったりがなったりするというのが、パンクの基本的なスタイルだったのから、だんだん枝葉が分かれてきてですね、その暴力的なものだったりとか、もっとストレートに表現していくっていうのをメロディと噛み合わせて表現していった人たちがコステロだったりとかポリスだったりとか、このスクイーズだったりとかするんですけども。

何ていうのかな、そのメロディに向かった分だけなんとなく歌詞とかにも耳が行きやすくなってですね、そこはなんか逆に毒を混ぜて皮肉っぽくアイロニー感なんかな感じで表現してきたバンドでして、とにかくその中でもメロディはボクも初めてこのアルバムを聴いたときから彼らのファンになっちゃったし。
それから随分長い歴史をもってですね、あっちこっち全米ツアーをやったりとかして世界的にも認められている彼らなんですけども、日本ではあんまり知名度がないみたいなんだけども、彼らのメロディ、一回体験したらなんか忘れられないというか、そんな感じの1時間45分になるんじゃないかなと思っております。
それではですね、そのファーストアルバム「SQUEEZE」から2曲続けて聴いてください。GOODBYE GIRL、そして、COOL FOR CATS。


♪ GOODBYE GIRL ♪
♪ COOL FOR CATS ♪



GOODBYE GIRL、COOL FOR CATSを聴いてもらいました。
ごめんなさい、これは「SQUEEZE」からじゃなくて、これは2枚目の「COOL FOR CATS」というアルバムからなんですけども。

とにかくこのバンドには個人的にもすごく影響を受けましたね。それはギタースタイルというよりは、もうちょっと曲作りの面でというか、コード進行ってこういうふうになってったりとか、こういう捉え方もあるんだみないなのがすごく勉強になったかな〜。
ギターを弾いていてコピーしたりとか練習したりとかするっていうのは、なんかリフものだったりとか、例えばそのパンク・ニューウェーブとか出てくる前とかはですね、やっぱスモークオンザウォーターっていう世界っていうのは典型的だったような気がしますけれども。
なんかパンク・ニューウェーブが出てきた頃からですね、あんまりギターも歪ませないでなんとなく生の音に近いような音でコードもなんか自分なりの工夫をしたコードを探していくみたいな、そういうアイディアみたいなものがすごく大切になってきた時期だと思うんですけども。

例えばスクイーズなんかだと上のギターのコードがC、G、A、G、Fみたいに下がっていくのに対して、そこに単純なことなんだけど、ベースが半音進行のC、B、A、D、Fみたいな感じでそれが組み合わさっていくとなんかコード感が広がっていったりとかですね、なんかそういうところがすごく勉強になったかな〜。
あと、彼らの得意なところっていうのが、構成があったとしてA、B、A、B、サビとか行くときにサビに行く前に、普通は4小節くらいあったりするのが、2小節とかだったり1小節とかだったり、なんかそういう突飛なフックがですね、逆にサビをすごくフッって前面に出すみたいな、そういう小技がすごく効いている人たちで。

なんかルックスもいわゆるパンク系の派手ハデという感じよりは昔から結構、オジサンっていう感じの人たちだったんですけども、そういう地味な雰囲気から想像できない派手なコード進行みたいな。
そういった意味じゃ彼らも昔からビートルズファンだったりとかそういうポップス、バッドフィンガーだったりとか黄金のポップスを研究してきたなり、自分らの中に取り入れてきたなんかしてスクイーズというバンドで表現したんでしょうね。
それでは2枚目の「COOL FOR CATS」からもう2曲聴いてください。UP THE JUNCTION、そして、SLAP & TICKLE。


♪ UP THE JUNCTION ♪
♪ SLAP & TICKLE ♪



えーと、これはちょっと前に頂いたお葉書なんですけども、広島のタカギくん。「布袋さんの影響を受けたアーティストのスクイーズの中でどのアルバムが一番好きですか?」というお便りなんですけども、それがまさに次からかけるですね「ARGYBARGY」というアルバムで。
このアルバムはすご〜くよく聴いたな。なんかボクの好きなアルバム、何枚か、まあ10枚とかいってもすごく難しいかもしれないし、でもベスト100とか選ぶとしたら絶対このアルバムは入ってるし、ひょっとしたらベスト50、ベスト30ぐらいには入るかな〜。
とにかくレコード、この頃はまだレコードでしたから、レコードがホントその名の通り擦り切れるまで聴いた覚えがありますけども。

この「ARGYBARGY」っていうアルバムはボクらBOOWYをやりたての頃でして、バンドのメンバーは全員このアルバムからはすごく影響を受けましたね〜。
冒頭に言ったメロディとリズムの成り立ち方みたいな、そういうセンスみたいなのがすごく気に入ってですね。当初、BOOWY、バンドとしてお手本としていたバンドはスクイーズだったような気がするし、ヴィジュアル的なものとかは別として、スクイーズと初期のウルトラヴォックスとが混ざったようなメロディアスでいてなんかちょっと破壊的なそんなバンドがいいな〜なんて言いながらね。
みんなでバンドでこの「ARGYBARGY」からは何曲かコピーして演ってたりとか、バスツアーでしたからバンのバスで、バンのバスっていうかバンで、それこそ札幌までは行かなかったけども東北から九州のほうまで何時間もかけて行ってましたが、その中でいつも流れていたのがこの「ARGYBARGY」というアルバムです。
それでは、その「ARGYBARGY」からまず1曲聴いてください。ANOTHER NAIL IN MY HEART。


♪ ANOTHER NAIL IN MY HEART ♪


スクイーズのアルバム「ARGYBARGY」から、まず1曲、ANOTHER NAIL IN MY HEARTを聴いてもらいました。
え〜懐かしいな〜。これって俺が、ホントすぐに思い出すんですけども、福生に住んでいた頃、福生は結構寒くてですね、なんか八王子のほうから吹いてくる風が結構厳しくてですね。そんな中でお金もなくてやることもなくて、ただ独りポツンと部屋ん中にいたりとかして犬のタモツくんと戯れながらですね、時を過ごしていたんですけども。そん時に福生の小さなレコード屋さんで見つけたのがこのスクイーズの「ARGYBARGY」だったような気がします。

ちょうどなんか季節も今時だったような気がするな。
で、なんかヒムロックがUコンの飛行機かなんかを持ってきて、都内は空き地がないから思いっ切り飛ばせないかなんか言ってですね、で、福生まで訪れてきたときがあって、一緒に飛ばそうぜってことになって。わぁ、初々しい会話なんですけども(笑)、飛ばそうぜ飛ばそうぜみたいな感じになって、燃料を詰めて飛ばしたはいいんだけど全然飛ばないっていうね。
結局、彼はなんか力任せにただ振り回していたっていう、そういうのもなんか寒さだったりとかこのスクイーズだったりとか福生という場所だったりとか、なんかそういう所にちゃんと気持ちが留まっているんだなというか、スクイーズを聴いた瞬間になんか思い出したりとかしますが。
よくいうやっぱ音楽を聴くとその場の雰囲気だったり、空気だったり、自分の考えていたことだったりとか、まぁ、若かりし自分だったりでもいいし、なんとなく背伸びしていた自分でもいいし、なんかその時のその時の自分自身とかいうのがフィードバックしたりとかしますよね。

きっと今日かけているスクイーズだって、まぁ、結構長いバンドですけども、この後にみんなもいろんな音楽を聴くようになって、自分のお気に入りのバンドができたりとか、なんとなく音楽を遠ざかっちゃう人もいるだろうし、でもなんかの機会にスクイーズのなんかの曲がふっとかかった時にさ、きっと今日のことを思い出してくれるだろうし、なんとなくそういった音楽のパワーっていうのは今年もやっぱ信じていきたいなと思いますし、未だにスクイーズというのはボクにとってもそういうパワーを持っているバンドなんですけども。
それじゃ「ARGYBARGY」からもう1曲聴いてください。PULLING MUSSELS FROM THE SHELL。


♪ PULLING MUSSELS(FROM THE SHELL) ♪


スクイーズで好きな部分っていうのは、やっぱ声っていうのはすごく独特ですよね。コステロにも通じるパッと流れた途端になんかスクイーズだと思うみたいなさ。
彼らの曲には1オクターブ下オーバーダビングしている曲もすごく多くてですね、それもすごくスクイーズらしさを出していると思うんだけど、もうひとつあとギターのアプローチなんかでも、まあ、コード進行はとにかくとして、ソロもメロディのひとつとして解釈されているところがすごくボクは好きですね〜。

やっぱギターキッズなんかにしてもそうなんだけど、やっぱテクニックよりも自分の作っている音楽の中の自分のギターのアプローチって大切にして欲しいなと思うんですけども。やっぱこのソロじゃないとこの曲じゃないとかさ、やっぱそのくらいまで考えたりとか。
あと、感性の中から出てきたギターソロっていうのは、なかなかやっぱずば抜けて素晴らしいんじゃないかな〜と思うんですけども、そのためには自分の中にいつもメロディーを持っていないとソロっていうのはさ、出てこないよね。
まあ、アドリブから成り立つものかもしんないけども、あんまりソロを作っていくっていう感じは体の中からどっちかというと出てくるものだったりとかしますから、そのためにはいつも自分の体の中にメロディがいつも鳴っているというか、そういうのってすごく大切なんじゃないかな〜という。

一番大切なのはひょっとしたらそれかもしんなくてですね、例えばプロになりたいとか、誰かに認められたいというために、なんか形を作ろうとしたりとかして、ライブなんかで自分なりのスタイルを築いていくというのが一番いいのかもしれないけども。
例えばデモテープにしちゃったりとかして、かなり完璧な自分の描いているイメージに近づけよう、近づけようと頑張ったところでですね、そこでなんか自分のなかで結果を出して、その結果を人がどう思うかという段階にいってしまうわけですよね、いきなり。

そうすると、それはそれでなんか結構損だったりとかして、結局レコーディングという次の結果もあったりとか、それを人が聴いてくれるという次の次の結果があったりというところでは、逆にあまり形にしないでですね。
自分の中にいつもメロディを流しておいてというか、音楽を自分の中で回転させているほうが、なんか会って話をしたりとかですね、何かの機会でプレイしたりする時に、ふとなんか強力な自分が顔を覗かせるという、それが一番理想的なんじゃないかなと思うんだけど。

そのためにはやっぱ、いつも心を尖らせていてですね、自分のアンテナを張っていて、いろんな音楽だったり、まあ、やっぱ音楽が一番耳から直接ハートに入ってくるから、一番強いのかもしんないけど。
まあ、感覚っていうか感性を、本だったりとか映画だったりとかよく言いますが、そういうところから自分の好きなものだったりとか、いいなと思うものを磨いていって自分らしくつなげていくというのは一番大切だと思うんですけども。

やっぱりこういうスクイーズだったりコステロだったり、逆に言えばビートルズだったりそういったなんかすごく天才的なもの、そういうものを体の中に取り入れていって、後に自分のスタイルとして出していくっていうのが、一番手っ取り早いのかもしんないね。
まあ、人間的にもそうかもしんないし、もし、ミュージシャンを、シンガーを志している人がいるとすれば、やっぱ自分の中の音楽っていうのを育むためには、やっぱ、たくさんの音楽っていうのを聴いていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。
えー、それでは「ARGYBARGY」から最後の2曲を聴いてもらいたいと思います。MISADVENTUREとWRONG SIDE OF THE MOON。


♪ MISADVENTURE ♪
♪ WRONG SIDE OF THE MOON ♪



ここまでの「SQUEEZE」、「COOL FOR CATS」、そしてあとは「ARGYBARGY」、この3枚というのはスクイーズの前期というか、パンク・ニューウェーブの影響下から出てきたバンドというイメージみたいなものがこの3枚までだと思うんですけども。

で、次の「EASTSIDE STORY」というアルバムからですね、いよいよなんかコイツら本物だぜ!っていう風格を匂わせるようになってきたんですが、例えばスクイーズを聴きながらもコステロとかと一緒にやればホント面白いのになとか、ずっと思ってたんですけども、それがなんか叶ってですね、「EASTSIDE STORY」はエルビス・コステロもプロデュースとして関わっているんですけども。
その「EASTSIDE STORY」というアルバムから2曲続けて聴いてください。TEMPTEDとIS THAT LOVE。


♪ TEMPTED ♪
♪ IS THAT LOVE ♪



アルバム「EASTSIDE STORY」から、TEMPTED、IS THAT LOVEを2曲続けて聴いてもらいました。
じゃぁ、お便りを紹介したいと思います。これは鹿児島のタニガワヨウコさん。「こんばんは。布袋さんにハガキを出すのはこれで2度目です。突然ですが、布袋さんは急に昔に戻ってみたいと思うことはありません?私はよくあるんですよね。なんかもう一度あの頃の自分をやってみたいな〜みたいな。布袋さんだったら、例えばBOOWYやCOMPLEXの頃の自分をもう一度味わいたいとか、どうですか?布袋さんどうか教えてください。」というお便りなんですけども…、なんかまるで終わってしまった人のような言い方ですねこれは、みたいな(苦笑)。そんなことないか。

え〜、なんていうのかな〜、まぁ、でも懐かしいなと振り返る瞬間は結構ありますけれどもね。まあ、そんだけ生きてきてますし、いろんなことやってきてるし。
でもなんか、なんていうのかな、あの頃の自分みたいなもの、うんと幼い頃とか子供の頃とかのあの感じというのは、もう一度なんとなく、ふと立ってみたいな〜あの草原にみたいな、実は田んぼなんですけども…。
そういうのはあるけれども、なんかその思い出になったから逆に形にも変わらずに心の中で生き続けるというのもあるしね。

もしも何回か逆戻り、どこでもドアみたいな感じでできたとしたら(笑)、なんか気に入らない部分?自分の人生で気に入らない部分をさ、やり直したりなんかしちゃって結果的には継ぎはぎだらけの人生になってしまいそうな気もするなぁ〜。
で、まあ、どっちかというと未来のほうが興味あるよな〜。なんか自分によって自分がどう変わっていくかみたいなさ、そういうのってすごく普遍的なテーマだし、逆になんていうのかな昔と今というのはあんまり自分自身はたいして変わんないつもりだしね〜。
まあ、大切な思い出っていうのは胸の中でですねガッチリ鍵をかけてですね、取ってあるんで失うことはないだろうし、いつでも自分で取り出して思い出せるみたいな。

お母さんに…、これもラジオで言ったっけな?最近物忘れが激しいんだけど…、お母さんに「お母さん、もしも一回なんか逆戻りできてとしてもう一回やれるとしたら何歳くらいに戻りたい?二十歳くらい?」とかさ、話なんかしてさ、「やよ〜、またあそこからやり直すなんて面倒くさい」みたいな、そんなことをいっていましたけどもね。やっぱ、その日その日の積み重ねだったりとか、いろんな気持ちの積み重ねで自分もやっぱ完成形に近づくみたいな、そういった人生というのが一番素直でいいんじゃないでしょうか?はい。
え〜、次の曲です。次の曲は「アニーよ銃を取れ」という曲ですね。ANNIE GET YOUR GUN。


♪ ANNIE GET YOUR GUN ♪


う〜ん…、ANNIE GET YOUR GUNを聴いてもらいました…。
最近、なんかボーっとしててですね、最近じゃないって?いつもかって?え〜、朝とか、かみさんが「朝飯何にする?」って、まあ、朝っていっても昼ですけどね。すると、「今日はトーストとパンでいいや」みたいな(笑)。なんかトーストとパン両方出されたら怒るくせにね。なんか頭と別に口から出てくる言葉っていうのが、なんか意思とは反してですね、なんか間が抜けたことを言ってんですけども。

そう、こうやって聴いてるとですね、スクイーズというバンド、ギターは別にギンギンに歪んで前面に出ているわけでもなく、ドラムの音というのも派手な音?例えば、ゲートリバーブがボンボンかかったスゴイ音でもないし、ベースはベースらしい音で、キーボードはキーボードらしい音で。
ボーカルもすごくドライですよね。あんまりディレイとかリバーブもかかってるわけでもなく、でも、なんとなく逆にスッと入ってくるというのが、やっぱこのポップスを作るという妙技だと思うんですけども。

ボクなんかレコードを作る立場としてですね、こういう音を聴いているとすごく難しいのね、逆にこういうものを作るほうが。何処かが出っ張ってて何処かがへっこんでるというか、逆に印象的な音というのは作りやすいんですよね。
例えば、その音を派手にしてったりとかさ、輪郭をはっきりしてったりとか、逆にこういったメロディ中心に、なんか他の音がすごくセパレートして聞こえるっていうのは、なかなか難しくてですね。
例えば、自分中心の考え方でですね、自分のやっぱソロが入るからって、ここでソロをすごく目立たそうとして全てを壊したりとかするとですね、結局はなんか自分のソロ自体も壊れてしまったりとか。そのへん上手く抑えていきながら感情だけは爆発するっていうのが一番理想的だと思うんだけど、なかなかこれが難しいよね。

でも、ギターを弾いているギターキッズなんかはですね、なるべくあんまり…ディストーションに頼っていくとですね、ディストーションがないと弾けないっていうヤツになってしまいますから。
なるべく家にいるときとかは、まあ、アンプもそんなにつながないだろうし、ギター一本であんまりそういうエフェクターをかけずにですね、コードの成り立ち方だったり自分のクセみたいな、っていうのをいろいろ学んでいくっていうのが理想的なんじゃないかな〜って思うし。

バンドやるときも初めは素の音でバランスを取ってからですね、やっていくみたいな。よく貸しスタジオとか練習スタジオとかに入ってですね、バンドで練習しよう!ってことになって、で、ワン・ツー・スリー・フォーってやって、なんかひとりひとりは気持ちいいんだけど、音はもうメッチャクチャみたいなさ。
で、モニターを上げて、ボーカルをもうちょっと上げて、なんとかかんとか上げてるうちに全然分かんなくなったりとかしますよね。
やっぱ、ドラムの生音に合わせてベースの音量を設定して、で、やっぱボーカルがどこまで出るかっていうのをある程度知っておいて、ドラムの人のパワーをさ、使い分けたりして、その上にギターなりキーボードなりを乗っけていくっていうのが、まあ基本に重要なんじゃないかな〜と。なんでこんな話になったんだか分かりませんが(苦笑)

さて次はですね、「COSI FAN TUTTI FRUTTI」というアルバムから聴いてもらいたいんですけども、え〜、この曲は俺もすごく好きな曲です。KING GEOGE STREET。


♪ KING GEOGE STREET ♪


う〜ん、いい曲!「COSI FAN TUTTI FRUTTI」っていうアルバムから、KING GEOGE STREETですね。
え〜、こういうなんか…こういうの好きなんだよね、俺。なんかこういうの聴くとグッときちゃうというか、ひとつのコードにすべて、ひとつひとつとってもなんか意味があるというかさ。メロディとグワーって絡まっていってドーンと昇華していくみたいな。こういうのはやっぱスゴイですよね〜。
で、どうしてもボクもそういうのが好きだから、コードでなんかトライしていくとですね、なんか作り物っぽくなっちゃうのがすごくイヤで。考えて考えて作りましたみたいなメロディっていうのは、やっぱその分だけストレートに人に届かなかったりとかしますよね。

周りとかみていても、う〜ん、例えばユニコーンの奥田君とかですね、彼とかのコード進行って上手いとこいくよな〜と結構感心したりするし。やっぱあと桑田さん?桑田さんは、やっぱ、あんだけたくさんの人に認められるべき人だと思うな。
なんとなく、やっぱそうやって音楽を作っていくのでも自分の中に、なんていうのかな、姿勢?自分の姿勢から生まれてくる音楽みたいなのって大事だしさ、それを貫いていかなかったらやっぱ表現していくっていう意味がなかったりするわけで。
なんだか同じようなコードで同じようなメロディが流れてる日本のロック界ですね、そんな中で、こんなスクイーズみたいな、俺みたいなやつがもうちっとたくさんいると面白いんじゃないかと思うんですけどね。
とかなんとか言いたいことを言いながら、「COSI FAN TUTTI FRUTTI」からもう2曲聴いてください。LAST TIME FOREVER、そして、NO PLACE LIKE HOME。


♪ LAST TIME FOREVER ♪
♪ NO PLACE LIKE HOME ♪



え〜、今夜はですね、ボクも大好きで影響をもうすごく受けたバンド、スクイーズを特集してお送りしております。
皆さんも、「いいじゃん、いいじゃんスクイーズ!」って感じで、明日学校行ったら「スクイーズ知ってる?」かなんかいっちゃおうかな〜ってなんか思ったりしてるんじゃないでしょうか。

こうやって同じアーティストを、ひとつのアーティストをずっと好きでいるとですね、「早く次のアルバム出ないから〜出ないかな〜」みたいな感じで待ってると、そのバンドの変化みたいなものもすごく面白かったりとか。
まあ、自分がこういうふうに勝手に「こういうふうに変化してくれればいいのにな〜」とか、「あのへんの感じにまた戻ればいいのにな〜」かなんか思いながらも、アーティストというのはですね、もうそのバンドの行くべき方向だけを貫いてっていう感じでどんどん前進していくわけですが。

このバンドもやっぱり1枚目の「SQUEEZE」から比べると音の作り方だったり、バンドの絡み方っていうのもどんどんどんどん幅が出てきてですね、音楽自体も膨らんでいくわけですが。でも、なんか彼らがメロディというものを見失わないっていうところに、やっぱスクイーズの良さっていうのがあるな〜という…。
え〜次にかけるのはですね、「BABYLON AND ON」というアルバムからなんですけども、このアルバムもすごくいい曲ぞろいでボクは好きですけれども。まず一曲聴いてください。HOURGLASS。


♪ HOURGLASS ♪


な〜んかスクイーズ聴いてると曲が作りたくなっちゃうな〜って感じになるんですけども。
自分の…なんていうの、過ちからケガをしてしまって、ツアーが延期になったりとかしていて、とは言いながらも年が明けてからは結構忙しいって感じになってきていてですね、回復して云々かんぬん、とりあえず自分のツアーを終わり次第、かみさんのほうのレコーディングにまた入ろうかな〜と思ってんですけども。

今年はですね、結構海外に云々とかいうのもあるんだけれども、そういった形ではなく、作品としてですね結構みなさんのところにいろんなものを届けられるんじゃないかな〜と思っていて。
なんかそういうモノを作るっていう意欲は失せるどころかどんどんどんどん高まっていってですね。体がホント2個か3個あればね〜、なんとなくすべてが上手くいったりするのかもしれないんだけども。

でも、ホントに曲を書いたりとかしていると、なんかスクイーズのあのへんの断片みたいなのが出てきちゃって。BOOWYの初期の頃はですね、結構「なんだ、これスクイーズじゃん!」っていうのが気がつくと出ていたりなんかして。初めのほうの放送を聴いてた人は「おっ?これ、なんとなくBOOWYに似てるじゃん!」みたいなふうに思った人も多いんじゃないでしょうか?

この「BABYLON AND ON」、そして「FRANK」「PLAY」あたりにくるとですね、スクイーズもなんとなく、もうちょっとコンセプチュアルなアルバム作りっていうものにどんどん入っていってですね、歌詞のほうもどんどんどんどん皮肉っぽくというか、いい意味での皮肉だからタダの皮肉屋って感じじゃないんだけどもね。
例えば愛ひとつ取るにしてもストレートに「愛してる」というんじゃなくて、日常にこんなことがあって、そんな中に君がいるからみたいなさ、でもこれ以上愛せないみたいな。そういう裏腹なところってあるじゃないですか?
そういったところもなんかゆっくりね〜、なかなか曲だけ流しているとそういうディテールまでは説明できないんですけども、みなさんもぜひ手にとってスクイーズ、1回自分なりに聴いてみてもらいたいな〜と思いますが。
それでは「BABYLON AND ON」からもう2曲続けて聴いてください。TOUGH LOVE。そして、次の曲はすごく…、うん、みんな好きなんだけどね!結局。CIGARETTE OF A SINGLE MANという曲を2曲続けてどうぞ。


♪ TOUGH LOVE ♪
♪ CIGARETTE OF A SINGLE MAN ♪



アルバムの「BABYLON AND ON」から、TOUGH LOVE、CIGARETTE OF A SINGLE MANを聴いてもらいました。
ここで、またお便りを紹介します。これは神奈川県のホンダさんから。「Dear布袋さん、今日、ウチの親父とエディ・コクランのCDについて久しぶりに親子の会話をしました。」ふんふん…。「なんかあまりこういう話ってしないんだけど、結構うれしかったですね。ちなみにウチの親父はエディ・コクランよりボブ・ディランのほうがいいと言っていたんだけど、私はなんといってもエディ・コクランのほうがいいと言い張りました。そしたら、「いや、ボブ・ディランだ。なんたって音がいいよ、うん」とかいってボブ・ディランの歌マネをしてきました。全然似てなかったけど、そういう誰かをマネする親父って(苦笑)初めてみたから驚きました。またこんな話でもしてみたいと思うんですが、してくれるかな?それでは!」っていうお便りなんですけども。

いいじゃんね!なんか音楽の話で親子で云々というのはなかなかいいんじゃないですか?え〜、これいくつの子?…15歳の子だから成り立つ話だったりとかすんのかな〜。
でも、なかなか渋い親父さんですよね。ボブ・ディランって。でも、ボブ・ディランっていう人はホントにお父さんの時期かもしれないし、ボブ・ディラン、今でもすごく活躍していてますけれども、全盛期というかすごくパワーを持った人で、独りで世界中を自分の影響で包んだ人ですからね〜。
アンディ・ウォーホルとかもボブ・ディランにすごく影響された部分もあったりとか、ミック・ジャガーとかさ、みんなやっぱあのへんの人ってボブ・ディランっていうのがね、もう欠かせない存在だったりとかしますからね〜。
そこで、「いや、エディ・コクランのほうがいい!」と言ってしまう貴方もなかなか好きですが。
お父さんにも、たまにはこの番組を聞いて欲しいというふうに伝えておいてください。この番組は、何ていうの?いわゆる新しめのトレンドなロックばっかりというわけでもないし、ボブ・ディランも流れる日が来るかもしれませんし…、よろしく伝えてください!

はい!それではスクイーズ特集を続けたいと思います。
次はですね、「FRANK」というアルバムから、え〜とこれは…IF IT'S LOVEという曲を聴いてください。


♪ IF IT'S LOVE ♪


わぁー、なんかあっという間に時間が過ぎている!もっとかけたいんですけれども…。
それでは「FRANK」からもう一曲聴いてください。THIS COULD BE THE LAST TIME。


♪ (THIS COULD BE) THE LAST TIME ♪


え〜、スクイーズ特集、次はですね、現時点での彼らの最新作、最近レコード屋行ってないから分かんないですけども、ひとつのストーリーをもとに曲が並んでいるというコンセプトアルバム「PLAY」から聴いてもらいたいと思います。HOUSE OF LOVE。


♪ HOUSE OF LOVE ♪


え〜、スクイーズ特集ですけれども、どのアルバムから聴けばいいのかなという人には、この、今日かけた曲のほとんどはですねベストアルバムに入ってたりとかするんで、それは入門編としてはいいんじゃないかな?
でも、個人的には「ARGYBARGY」をおすすめしたいんですが…、え〜「PLAY」からもう一曲聴いてください(苦笑)。SUNDAY STREET。


♪ SUNDAY STREET ♪


おー、なんかあっという間にですね、時間が過ぎてしまいましたね。盛り上がってるのはオレだけだったりとかして(苦笑)。だとしたら悲しい…。
久々にワンアーティストを特集したわけですけども、スクイーズ特集いかがだったでしょうか?(噛んで苦笑)気に入ってもらえたらすごく嬉しいですけども、別にオレがスクイーズのメンバーでもあるわけでもないのに、なんだかしんないけどそんな気分です。

え〜、来週はですね、ちょっとゆがんだものを選んでくるつもりなんで楽しみにして欲しいなと思います。
まだまだこれから寒くなるから、暖かーくして、たまには新鮮な空気とかも吸って風邪など引かないようにしてね。なんかまた流行ってるみたいだから。
え〜、最後の曲はですね、アルバム「PLAY」からキューピッドのおもちゃ、これはCUPID'S TOYという曲を聴きながらお別れしたいと思います。
それでは、また来週お会いしましょう。元気でね。

よい夢を、おやすみ。


♪ CUPID'S TOY ♪



01.TAKE ME I'M YOURS
02.GOODBYE GIRL
03.COOL FOR CATS
04.UP THE JUNCTION
05.SLAP & TICKLE
06.ANOTHER NAIL IN MY HEART
07.PULLING MUSSELS(FROM THE SHELL)
08.MISADVENTURE
09.WRONG SIDE OF THE MOON
10.TEMPTED
11.IS THAT LOVE
12.ANNIE GET YOUR GUN
13.KING GEOGE STREET
14.LAST TIME FOREVER
15.NO PLACE LIKE HOME
16.HOURGLASS
17.TOUGH LOVE
18.CIGARETTE OF A SINGLE MAN
19.IF IT'S LOVE
20.(THIS COULD BE) THE LAST TIME
21.HOUSE OF LOVE
22.SUNDAY STREET
23.CUPID'S TOY

thank you HOTEI !



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