Mobile Fidelity Sound Lab 24K Gold Disc
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モービル・フィディリティ盤 Mobile Fidelity Sound Lab 24K Gold Disc




モービル・フィディリティ(Mobile Fidelity、以下MF)シリーズは、米Mobile Fidelity Sound Lab社(以下MFSL社)がレコード会社から借り受けたマスターテープを元に、独自のマスタリングをして作成したディスクのこと。
CD、レコードともに製作されています。

その出来栄えは作品によりますが、高音質でクセのない音は総じて評価が高くなっています。
一般的に言われる「マスタリング」作業は、場合によっては音質を追求するのではなく、アルバムの再発のためにルーチンワークとして行っているものもあるそうです。
そのため、なんとなく音が良くなった印象を受けたようでも単にイコライジングを変えただけで、本質的には何も変わっていない…ということもあります。

しかし、このMFシリーズは、MFSL社のエンジニアが数ヶ月かけて既存の音源を徹底して聴き込み、作品の性質を理解した上で、さらに借り受けたオリジナルマスターテープの情報をできるだけ引き出すべく努力を重ねており、エンジニアのプライドをかけた作業がなされています。

ただ、作業はあくまでオリジナルマスターテープの情報を忠実に引き出すことを目的としているため、作品によっては既存の音源にあったメリハリが失われて、ユーザーの評価が高くないものもあります。

しかし、そのポリシーは一貫しており、アーティストの意向やオリジナル音源を尊重した作業は評価されるべきであり、実際に多くの作品はオーディオファンからも高い評価を受けています。


なお、CDにおいては使用素材が通常のアルミではなく、純度99.99%の金メッキを使用しています。
そのため、通常のCDよりも信号記録面の反射率が高く、音質が優れているといわれています。
また、耐熱性・耐久性も高いので、寿命も比較的長くなっているようです。

左:通常のCD 右:MFSL社ゴールドCD


SQUEEZEの作品では、唯一「East Side Story」のみがMF盤でリリースされています。
気になる音質は… 結論から言うと非常に素晴らしい出来です。

もともとSQUEEZEのレコードは、オーディオ的にはそれほど良音とはいえません(特に「SWEETS FROM A STRANGER」以前)。
もちろんレコード盤ならではの深みのある音質は味わえますが、どちらかというと中音が前面に出て、各楽器の定位がはっきりせず、モコモコした音が特徴です。

そのため英国オリジナル盤よりも、このMF盤のほうが断然音が良いです。
音の定位、高音、中音、低音の際立ち方、どれをとっても素晴らしいです。
また、CDにありがちな「いかにもCDらしい硬い音」は全く感じられず、アナログ的なバランスの良い音となっています。
オリジナル盤の音質があまり良くないだけに、このMF盤を聴くと相当マスターテープに近づいたような感覚になり、なんだか嬉しくなってしまいます。

1981年のオリジナル盤以外にも世界各国でLPがリリースされ、そしてCD時代においては何枚かのリマスター盤がリリースされていますが、MF盤はそれらのどれよりも良質な音で、「もっとも音の良いEast Side Story」であると断言できます。

MF盤はどのアーティストも限定生産であるため、中古市場でもあまり見かけることはなく、あったとしてもかなりの高額となっていることが多いです。
この「East Side Story」も例外ではありません。
そのため、つい購入を躊躇してしまいますが、それでも熱心なファンであれば聴いておきたいもののひとつです。


このMFシリーズは主にロック&ポップス作品のリリースですが、クラシックやジャズの名盤も作成されています。
つまり、ジャンルは何であれ「良い作品は良い」ということなのでしょう。

名盤を少しでもマスターに近い音で聴いてみたい…。そんな、音楽・オーディオファンなら誰でも持つ願望を、MFSL社は叶えてくれています。
SQUEEZEファンとしては、「East Side Story」と同じく名作の誉れ高い「SOME FANTASTIC PLACE」をMF盤でリリースして欲しいと切に願っています。



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