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Cradle To The Graveのジャケットデザイン
内容に関しては多くのファンが「過去最高傑作では」と評する完成度を誇るCradle To The Grave。しかし、ジャケのデザインに関しては評価がかなり分かれます。
私個人的な感想としては、初めて見たときには正直そのインパクトに少々驚いたものの、そこはスクイーズの過去の作品を何度も手掛けているお馴染み英国のデザイナーグループSTYLOROUGEのこと。じっくり眺めているとアルバムのテーマに沿って計算されつくしたデザインであり、ひとつひとつに多くの意味を込めていることが分かります。
そこで、私独自の解釈ではありますが、このジャケの謎をひとつずつ紐解いてみたいと思います。
まず、一見成人に見えますが下半身はオムツをはいています。このオムツは赤ちゃんの象徴でもあるし、介護が必要となった年寄りを表しているともいえます。
顔はいっぱしのジェントルマンですが、成人にしては体のバランスが不自然で足も短い。これは幼少期の体型です。
そして、胸に刻まれた「MOTHER」の文字のように全ての人間は母から産まれてくる。先にハトとハゲタカがそれぞれ生と死の象徴としましたが、ここには生の象徴であるハトが描かれています。
つまり、この人物ひとりでアルバムのテーマである「CRADLE TO THE GRAVE=ゆりかごから墓場」までを表しているのです。
「ゆりかごから墓場まで」という人生をコンセプトにした本作を語る際、ロック史上初のコンセプトアルバムと言われているビートルズのSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandを引き合いに出すとすれば、このジャケの男はペッパー軍曹ならぬ「Mr. Cradle To The Grave」とでもいえそうです。
髭を生やしているのはペッパー軍曹へのオマージュ…なのかもしれません(後述しますが、内ジャケでもビートルズを意識した箇所があります)。